ロードバイク(BASSOのLOTO)、クロスバイク(プレスポ)乗りのブログ
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福二という男が海岸の村へ婿(むこ)に行ったが
大津波にあって妻と子を失ってしまう。
生き残った二人の子供と 家のあった場所に小屋を建てて暮らしていた。

それから1年が経ったある夏の夜、トイレに行こうと起き出た。
霧が立ち込める夜だったが、遠くから二人の男女が歩いている姿が見え、
その姿をよく見てみると女は去年亡くなった妻であった。

思わずその後をつけてしばらく歩き、福二は妻の名を呼ぶ。
すると妻は振り返り にこりと笑った。

男のほうを見ると、この男もまた去年の大津波で死んだ者だった。
しかも福二が婿入りする前に、妻と深く思い合う仲だと聞いたことがある男。

今はこの人と夫婦になっているんです、と妻は言う。

「子供は可愛くないのか」と問えば 女は顔色を変え、泣き出してしまった。

福二は悲しくも情けない気持ちになり うつむいていると
その間に男女は足早に立ち去り、山陰の方へいって見えなくなってしまった。

しばらく後を追ったが、「あれは死んだ者だったのだ」と思い直し、
夜が明けるまで道に立って考え続け、朝になって家に帰った。

その後しばらくの間、悩み苦しんだと聞く。


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↑柳田國男の「遠野物語」という本に書いてあるものです。99話。


これは岩手県であった悲しい実話であり、
明治三陸津波(1896年)が引き起こしたものでした。
そして福二さんの子孫は生きていて、この本の事も知っているそうです。

また驚くことに、というかやはりというべきなのか、
福二さんの子孫もまた、岩手県に住んでいますので、、
2011年の東日本大震災で被災され、家も全て流されてしまいました。
福二の孫である78歳のおばあさんは海に飲まれ今も行方不明です。

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この話だけが特別ではなく、人にはそれぞれに歴史があり、
死者行方不明者2万人には2万通りの悲痛な物語がある。
それを思うとなんともいえない気持ちになる
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